博物館へは一人で行け

 

さて、2月である。

去年の恐竜博の話を書こうとして、書いていない。

恐竜というのは、万人に人気があるように見えて、実は人を選ぶ。

むかし、ネットで知り合った人に「一人で出掛けないで、俺たちを誘え」と言われたので、彼らを六本木ヒルズで行われていた恐竜展に誘った。

そのときは、終始恐竜とモンハンのモンスターとを比較された上に「入場料の価値はなかった」と言われ、彼らとはほぼほぼそれっきり会っていない。

去年の上野のカムイサウルスの恐竜博も、4人で行ったが、純粋に楽しんでいたのはおそらく僕だけであった。

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おそらく普通の人間にとって、恐竜の復元骨格だけ見てもつまらないし、ましてやデイノニクスの発見における恐竜ルネサンスや、日本初のほぼ完全な骨格化石であるカムイサウルス、羽毛の型がしっかり残った中国の化石などは、価値が無いものであるのだろう。

恐竜ルネサンスというのは、ルネサンス以前は、恐竜は今日の爬虫類と同じ、変温動物だと考えられていたが、デイノニクスという恐竜が発見され、骨格を色々調べていくと、どうも恒温動物の恐竜もいたぞ、となったものである。

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恐竜展は、やはり一人でいくものである。恐竜展に限らず、博物館は、一人で行き、自分が気に入った展示をじっっっくり見る。友達や恋人と行くところではないのだ。博物館には一人で行け。博物館には一人で行け。

むかわ竜、学名「カムイサウルス・ジャポニクス」

 

かっこいいいいいいいい!!!!!!!なんでそんな神みたいな名前をつけられるんだ!!!!!いや「カムイ」はアイヌ語で「神」って意味なんだけど。満を持して感がヤバい。

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僕はまだ上野の恐竜博に行けていないのだが、恐竜博の展示の名前も架け替えられたらしい。早く恐竜博に行きたい。

 

そういえばフタバスズキリュウ→フタバサウルス・スズキイはなんであんなに時間がかかったんだろうと思って調べてみたら、恐竜に比べて首長竜の資料が少なくフタバスズキリュウが新種だとする根拠を示すために時間がかかってしまったらしい。

つまりカムイサウルスは、既知の鳥脚類とは明らかに違う恐竜ということになる。やっべ興奮してきた。たぶん実物を見てもまったくピンと来ないだろうけど、わくわくしてきた。

 

カムイサウルス発掘の指揮をとった小林教授は、NHKの「夏休み子ども科学電話相談」に出演していることもあり、とても身近に感じている。

カムイサウルス発掘については、北海道むかわ町は6000万円をかけたそうで、小林教授はラジオで度々「日本だって金をかければ化石が出る」と言っていた。

しかし研究というのはスポンサーが必要で、むかわ町はよくお金を出してくれたと思う。

そういえば最近「蝉は羽化してから1週間じゃなく1ヶ月生きるのは推測がついていたが、金にならないから研究しなかった」みたいな話があった気がする。

 


むかわ竜といえば、思い出すのが、ラジオ「夏休み子ども科学電話相談」での、このくだり。

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この頃から小林教授はカムイサウルスを隠していたのだろうか…

 

 

【読書メモ】恐竜・古生物ビフォーアフター

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ツイッターでお馴染みのツク之助さんがイラストを担当する、古生物についての研究史について書かれた一冊。


本書にもある通り恐竜や古生物の研究は日進月歩で、新しい発見により復元図が変わったりすることは稀によくある。


有名なのは本書にも扱われているイグアノドン。
発見当初は歯の化石と謎のトゲしか見つかっていなかったため全長18メートルの鼻にツノが生えた巨大トカゲの姿で復元されていたが、やがて全身骨格が見つかり、いわゆるゴジラ体型に復元されるようになる。
現在では前傾姿勢になり、カンガルーや猿のように二足歩行と四足歩行を使い分けていたとされる。 


また、少し前までネットを騒がせた「ティラノサウルスもふもふ問題」個人的にはティラノがもふもふだろうがゴジラ立ちだろうが構わないが、「ティランノサウルス」というカタカナ表記だけは受け入れられない。
これはティラノサウルスのアルファベット表記が「Tyrannosaurus」であるため、nが2つかなさっているため「ンノ」表記になるとする一派がいるのだ。
外国語をカタカナにするのは難しく、一般的な単語ならともかく恐竜の名前なんかは表記ぶれがある。わかってはいるのだが「ティランノサウルス」はちょっと間抜け過ぎやしないだろうか。
学術研究に必要なのは「Tyrannosaurus」表記であるので、これは単純に日本のファンの間だけの話である。ちなみにこの表記ぶれの話は本の中にはいっさい出てこない。


本書に似たような切り口の本として「大人のための恐竜教室」という本がある。

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ピノサウルスが四つ足になったとか、ブラキオサウルスは水中生活じゃなかったとか、パキケファロサウルスは頭突きをしなかったんじゃないかとか、恐竜の復元の移り変わりについて書かれた恐竜の入門用の本という共通点がある。中華竜鳥の化石から色素が出たことや、ミクロラプトル、イーにも触れている。「〜恐竜教室」のほうがなんとなく情報量が多い気がする。化石戦争にも触れてるし。


しかし「〜ビフォーアフター」のツク之助さんのイラストはかわいい。「〜恐竜教室」のイラストもこれまたネットで有名な川崎悟司さんであるが、ツク之助さんのイラストの方が遊び心に溢れていてかわいい。ツク之助さんが珍しくホモサピを描いているので、そこにも注目したい。