【映画】アルキメデスの大戦【ネタバレ】

同人誌、同人ゲーム、同人ソフトのダウンロードショップ - DLsite


7月28日に「アルキメデスの大戦」を見てきた。

 

f:id:snow_in_the_moon:20190805233651j:image
菅田将暉キチガイの役しかやらないな…。まあ目力がすごいからだと思うんだけど。

 


時は昭和8年。日本海軍にて、新しく軍艦を作ることにした。舘ひろしチームは、これからは航空機の時代なので、空母を作りたかったが、橋爪功チームがちょーでかい戦艦を作った方がいいに決まってるのでちょーでかい戦艦を作ると言って聞かない。しかも橋爪功チームの出してきた予算が舘ひろしチームの予算より安い。戦艦がそんなに安く作れるわけないよね…橋爪功チームはまさかズルしてるんじゃないか?どうしようか…。その日はとりあえずお開きになり、舘ひろしチームがお座敷で可愛い子侍らそうとするのだが、菅田将暉がその店の可愛い子を独り占めしていたのだった。

 


珍しい切り口の映画だと思った。普通戦争映画というと、戦場で兵士たちがうんぬんかんぬんとか、或いは残された人たちが貧困や空襲でどーしたこーした、みたいな話が多いイメージだが、この映画は、なぜ戦艦を作るのか?という点にスポットを当てている。いわゆる戦闘シーンは冒頭のみである。その戦闘シーンはすごく力が入っていて大迫力である。冒頭で戦艦・大和は敵の攻撃を受けて、沈没してしまう。それはそれとして、さて12年前…と話は本筋へ進んでいく。戦艦大和が作られたのは史実、戦艦大和が敵にやられたのも史実。菅田将暉が演じる櫂直(かい・ただし)は戦艦大和を作るのを阻止するという立場であるため彼が負けるのは既定路線だが、どうなるのか?個人的には「艦これ」を昔プレイしていたため、登場する軍艦の名前や、「これからは空母の時代」というくだりがすごくわかりやすかった。

 


櫂直は、少佐の位を与えられ、戦艦を作るにしては異様に安い建造費の嘘を暴くことを命じられた。しかし戦艦を作りたい派の人たちに妨害され、材料費や人件費は一切知ることができないという状況。直属の部下である田中少尉(最初味噌汁こぼすかと思った)や、家庭教師をしていた頃の教え子である鏡子お嬢様(守ってあげたくなる胸をしている)と協力して、戦艦長門に乗って甲板から手摺からを巻尺で測りまくったり、大阪の笑福亭鶴瓶を尋ねたりして、どうにかして戦艦の建造費を突き止めたのであった。

 


地道な努力から、敵に期限を縮められたり、それでも時間制限ギリギリまで粘る姿勢などは「戦争版半沢直樹」と呼んでいた記事がいくつかあったが、まさにその通りだと思う。海軍省がある東京から、大阪まで移動が2日かかるんですってよ。やべーな昭和。科学技術の進歩を感じる。長門で図面を盗み見るところだって、今じゃスマホで写真撮れば一発なのになー。

 


そして、櫂くんは戦艦大和の建造費の見積もりが嘘であることを証明する。これからは航空母艦の時代だ。やったぜ。

しかしそうはならない。何故なら建造費の見積もりは理由があってのことだったからだ。軍艦の建造費は、いずれ敵国にもバレてしまう。その時「このくらいの建造費ならこのくらいの規模の艦だろう」と推測される。その建造費が莫大なら、でかい艦であることがバレて、対策をされてしまう。だから、他の艦と同時に発注し、戦艦大和自体の書類上の建造費は低めに出ています、というお話だった。櫂くんのしてきたことは無駄だったのか…?

 


だが話にはまだ続きがある。造船中将である平山忠道が言うところによると、日本は日露戦争に勝ったばかりで浮かれている。そして負け方を知らない。追い詰められても最後の一人になるまで戦うのが日本人という人たちである。さらに言うとでかい戦艦が時代遅れということもわかっているし、だからといって空母を造ったって敵国には絶対に勝てない。でかい戦艦を作り、それに日本を象徴するような名前をつけ、それが沈んでしまえば、国民は諦めがつくのではなかろうか。彼はそんな思いを戦艦大和に込めたのだ。そんなこと言われたら…反論できないじゃないか…。そこまで見て、冒頭の大和が沈められるシーンを思い出すと、なんとも言えない気持ちになる。戦艦大和は、その役割を、果たせたのだろうか…。

 


個人的にはあまり期待していなかったが、なかなか面白かった。戦争している感じは冒頭と最後くらいで本編中はあまりなく、ひたすら調べ物、巻尺で測る、フリーハンドで図面を引く…悲愴感は薄く、いい意味であまり戦争映画っぽくはなかった。