11月13日に「すずめの戸締まり」を見てきました。
画像はhttps://suzume-tojimari-movie.jp/より。
【再掲】君の名は。【ネタバレ】 - 宵闇林檎〜中身ゆるゆるブログ〜
【映画】天気の子【ネタバレ】 - 宵闇林檎〜中身ゆるゆるブログ〜
以下ネタバレあり。
まず抱いた印象というのは、東日本大震災そのものをエンタメにするのはまだ早すぎるのではないかということだった。
新海誠監督の2016年の作品「君の名は」では、東日本大震災を直接表すことはしなかった。岐阜県のとある町に隕石が落下するという架空の災害に置き換えて、もしも災害が起こる前に、被災地の人たちを逃すことができたら…という内容だったと、僕はそう理解している。
「天気の子」では、長雨という災害により街の構造が変わっても、東京都民は東京を捨てることはなく、変化に対応しながら生活し続けるという内容だった。何れも、東日本大震災を直接表すことはしてこなかったのだ。
もちろん東日本大震災や福島原発の事故を直接描写した他の映画は存在する。そういった場合は、タイトルやあらすじでそのことがわかるようになっている。
しかし本作における東日本大震災の描写は、タイトルやあらすじではわからず、言ってしまえば不意打ちに近い。更地になった被災地や、建物の屋根に乗り上げた船なとが描写されている。
終盤の扉の向こうの常世の場面は、震災の日の夜に起こった火災のような描写になっている。東日本大震災はまだこのように扱っていい事柄ではないはずだ。まだ11年前の震災だし、劇中の鈴芽のように親を失った子供たちというのもいるだろうし、当時の災害の様子を現地やテレビで見てショックを受けた人たちも大勢いるだろう。
僕は特にそういうわけではないが、記憶に新しい東日本大震災を半分ファンタジーであるかのように扱うことには、驚きを隠せなかったのだ。まあ、それはそれであり、東日本大震災を直接扱ったからと言って、この作品はダメだと叩きたいということではない。
この表現はダメだとは、この事柄を面白おかしく扱ったからダメだとか、そういう話はなるべくならしたくない。自分が見ることができる作品が減ってしまう。ただ、僕がびっくりしただけである。
全体の構成としては雰囲気明るめのロードムービーである。鈴芽が要石の猫と椅子の草太さんを追いかけてフェリーに乗り込んでしまい、そのまま故郷の宮崎を離れてしまう。宮崎、愛媛、兵庫、東京で扉を閉めて、最後に岩手の扉で最終決戦(違)である。猫があまりにも特徴がある猫なので、劇中のSNSでダイジンという通称が付いて、しかも写真がタグ付きで大量に上がるので、充分追いかけることができるというのは実に現代的だ。
ちょっと導入が雑だなぁと思った。最初に鈴芽が草太に廃墟の場所を教えてから、しばらくして追いかけるのは無理矢理じゃないかと思った。まあ、イケメンだから仕方ないと言われたらその通りなのだが。一目惚れ的な描写を十分に汲み取れなかったのだろう、僕が。
気になったところがもう一つあって、鈴芽の序盤のリアクションが少し大袈裟かな〜と思ったりした。「なになになに〜?!」「なんなのよ〜?!」みたいなやつ。まだ超常現象に慣れてないから仕方ないと言われたら、まあ…。
今作は、前作の「天気の子」みたいなえっちな展開を期待していったらばちょっと肩透かしだったかなぁと思った。鈴芽ちゃんはとても健康的でえっちなのだが、いかんせん相方が椅子なので、いやらしいことは全く起こらない。
最初の方は、そんな行く先々で親切にしてくれる善人とばかり会うわけないだろ!みたいな難癖をつけるような感じで見てしまっていた。たぶん心が病んでいたんだと思う。作り話なんだから、親切な人たちばかり出てきたって、いいじゃねーか。
流れが変わったのは、やはり芹澤が登場してからだろうか。今まで道中で親切にしてくれたのがみんな女性だったので、男が出てきて驚いた。最初は草太の部屋に訪ねてきたのだが、返事がないからといって、鍵を開けて入ってくるのだ。つまり草太の部屋の合鍵を持っている?しかも鈴芽が草太を取り戻すために岩手(?)の実家に行かなければならないと告げると疑いもせずに走り出す。“友人”というには重過ぎないか?教授!これは一体…?
芹澤は音楽のチョイスが渋いなと思って見ていたがそれはパンフレットによると、環に合わせたつもりだったが実は古過ぎた、みたいなことが書いてあった。ルージュの伝言をかけるときの「旅に出るときの曲といえばこれだろ、なんか猫もいるし」ってセリフがなんか好きだわ。
あのミミズというのは、龍脈エネルギーみたいなやつが可視化されたみたいな感じなのだろうか。後ろ戸から湧き出してくるので、あの世からの怨念みたいなものなのだろうか。冒頭に書いたが、ミミズは扉を閉めて鍵をかければ消えるので、大地震も人の手によって防げるということになってしまう。いいのか、それで…。
鈴芽と草太、ダイジンとサダイジンは、岩手県の扉から常世に入って、同じく当時の津波の後の岩手から常世に迷い込んだ幼い頃の鈴芽に、未来を見せて希望を与えたということでよろしいか?なぜ11年前の幼い鈴芽とチャンネルが合ったのかは知らん。そういえば鈴芽はこの時に草太のことも見てたのだろう。だから冒頭で草太を追いかけたということなのかな。それならまあ納得するかな…。
総評としては、家族で見れる健全なロードムービーにはなっていると思う。ただ東日本大地震がストーリーにガッツリ絡んでくるし、スマホの地震アラートが劇中幾度となく鳴るので、苦手な方は注意されたしと言ったところだろうか。
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