2022年３月６日に「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021」を見てきた。
原作は37年前。本作は新型コロナウイルスのせいで上映が一年延期されてしまった。その結果、内容が内容なだけに、世界情勢と比較して見られてしまうことになってしまった本作。個人的には前回のような引っかかるところもなく素直に良作だったと言える。しかし上映タイミングのせいで素直に見ることが出来ない映画になってしまったことは、なんというかコメントしづらい状況であろう。
以下感想など。
本作は貴重な「出木杉くんが出演する映画」である。出木杉といえば映画に出ることは出来ても、大冒険には連れて行ってもらえない。今回もやはり冒頭にちらっとだけ登場…しかも原作と違って敵と遭遇していない…と思われたが、最後の最後にもまさかの再登場。たぶんだけどピリカ星での出来事を記録映像として上映して、出木杉に「全て事実でして…」と話して聞かせたに違いない。しかもなんとなくいなくなったわけではなく、中途離脱した理由も「塾の合宿」とちゃんと理由が付け加えられている。のび太たち５人にとって、出木杉は冒険譚を話して聞かせる程度には友達だったんだな、よかったと思った。序盤「うわあああ出木杉がひみつ道具を使っているううううう」ってなるよね…ならない？
今回は「戦争」ということで、兵器の描写がふんだんに盛られている。PCIAのクジラ型戦艦はすごく現代的にスタイリッシュに洗練されたデザインになっていてとてもかっこいい。またスネ夫のラジコン戦車も重厚感増し増しでとてもかっこいいし宙間戦闘では戦闘機に変形する機構も追加されている。極め付けはドラえもんでまさかの板野サーカスチックな機動が描写されたこと。この辺りも素晴らしかった。オタクは板野サーカスが大好きだから仕方ない。のび太たちが撃墜しても、クジラ型戦艦以外の敵の戦闘機や戦車は無人機なので安心(？)今回の監督さん脚本さんメカデザインさんの別の参加作品を見ると、ガンダムだのマクロスだのエウレカセブンだのケロロ軍曹だのロボットアニメに関わっている人がガッツリいて、納得した。
スネ夫については心理描写も細かく表現されている。映画の撮影とか、地球にいるあたりはノリノリだし、レギュラー陣が乗り込む機体は彼のお手製。むドラえもんの道具無しでミニチュアのバギーを小人が乗り込んで操縦出来るようにしてしまうのはすごいよ…。戦車については、変形のアイデアまで盛り込んだ自信作だ。しかしいざ戦闘が始まると尻込みしてしまう…「僕はヒーローでも兵隊でもない。はっきり言って迷惑」物語にはブレーキをかけるが、これが普通の小学生の精神だよ。むしろ殴り込む気満々で、処刑執行直前まで「あいつをぶん殴ってやりたい」とか言ってるジャイアンがおかしいよ。うん。
また前回ほどではないが話の流れがちょこちょこ変わっている。具体的には最初ののび太がジャイアンスネ夫の映画撮影から追い出され、ドラのびしずで映画撮影を試みる下りはカット。クジラ型戦艦が撮影現場を襲撃するのは出木杉が塾の合宿で離脱した後になっている。パピくんとのび太の両親との絡みはカット。パピくんが捕まるタイミングが変更されて、自由同盟の基地に到着してから単独でドラコルルの元に乗り込んでいる。ロコロコの初登場が、公園ではなくしずかちゃんの家の秘密基地に変更されている。自由同盟の基地が発見された理由は、地上の基地がドラえもん達のせいで発見されて構成員達が捕まり宇宙基地の場所を喋ってしまったから。チーターローション無し。自由同盟の地上基地がPCIAに包囲されてからドラのびジャイとロコロコは下水道から逃してもらいスモールライト奪還を目指すがドラコルルのトラップにかかりドラジャイとロコロコは捕まってしまう。スネしずの戦車が撃墜される兵器がEMPミサイルに変更。変更点はこの辺りだろうか。あとはパピくんの姉が追加で登場している。
ドラえもん映画史上最賢の敵と言われるドラコルルは健在である。むしろ人質に必要以上に乱暴な真似をしないとか、ジャイアンに捕まった時も部下の安全を優先するとか、強キャラ感は原作以上である。スモールライトを奪った上でピリカ星ではスモールライトをチラつかせてドラえもん達を誘き出し、その上で姿を消して来ることを想定して、センサーでドラえもん達を把握するという、追加シーンでも智将ぶりが盛られている。声が諏訪部順一さんなのも良い。ドラえもん一向を全滅寸前まで追い込んだ。スモールライトの時間切れがなければ、ドラえもん達は負けていただろう。ってことは…ドラコルルが地球人と同じ大きさだったら…負けてた…ってコト？！
来年は空を舞台にしたオリジナルかな？楽しみ。
