【読書メモ】読みたいことを、書けばいい。

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読みたいことを、書けばいい。

人生が変わるシンプルな文章術

田中泰延

 


この本は真面目なハウツー本と見せかけて砕けた内容と少ない文字数で読みやすい本である。半分自伝というかエッセイに片足を突っ込んでいるような気がしないでもない。


この本にも「いま自分が描いている文章が報告書なのか日記なのか評論なのか定義をはっきりさせて書くとよい」と書かれている。映画の感想を書いていたつもりがいつの間にか日記になっていた…という記事が、読みづらいという人もいるだろう。

そしてネットにある文章の9割は随筆であるという。随筆というと難しい感じがするが、淡々と書かれた記事以外、筆者の感情が入っているものは全て随筆に該当するらしい。


しかしネットには莫大な量の文章が溢れかえっている。この本には、既にそのことについて誰かが書いているなら、読み手でいようと書かれている。厳しい意見であるが、自分の言いたいことを、自分よりも文章力が優れた誰かが、既に書いているというのは、稀によくある。

個人的には、うちのような泡沫ブログの一覧読まれている記事は「天気の子」の記事なので、必ずしも当てはまる話ではないと思う。それに自分が読みたい記事なら、書くことに価値があるとも書かれている。そもそも本書のタイトルだ。

 


文章を書くときは、よく調べることが大切だと書かれている。自分の感想“だけ”が書かれた文章を、他人が読んでも、あまり有用ではない。物事について調べたことを書き連ねて、最後の最後に自分の意見を述べるのだという。その時注意したいのは、一次資料を当たることだ。

一次資料とは、僕もこの本を読むまで知らない言葉だった。ネットの記事というのは9割は誰かの又聞きが書かれているから、ちゃんとした本になっているものを資料にすると信憑性が上がるという。

そんなときに利用したいのが、図書館だ。現在はぼちぼち貸し出しが再開されている図書館も増えている。先に述べた「既出の文章」から一歩踏み出すためにも一次資料を参考にする。「巨人の肩に乗る」という言葉がある。これは先人たちの発見や知恵を巨人に例えて、その一歩先のことをすることをそう呼ぶのだそうだ。

 

あと眼から鱗が落ちたのは「貨幣と言語は同じもの」という話だ。言葉は、モノに名前や説明を付与して、価値を生み出すことができる。また言葉には価値があり、優れた文章はお金と交換される。さらに、文章や言葉は、貯めておいて、好きな時に取り出して使うことができるという。そう言われてみればたしかに貨幣と言語は似たような特徴を持っている。


この本を読んで、知識や考え方の種類は増えた気がする。しかしそれをブログ運用に活かせるかと言うと、少し難しいのかもしれない。しかし、検索しても出てこないような分野の話を書くことでブログへのアクセスが増えるかもしれない。だらだらと自分が思ったことだけを書くよりは、一次資料をあたり引用元をはっきりさせる。そうすることで、記事ひとつひとつの価値が上がるかもしれない。そういうことが書かれた本だった。