【映画メモ】アイの歌声を聴かせて【ネタバレ】

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11月21日に「アイの歌声を聴かせて」を見てきた。

 

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最初の予告編を見た段階では、あまり面白そうだとは思えなかった。キャラデザインが気に食わない。見終わっても気に食わない。しかしTwitterで、この作品を誉めている書き込みがいくつか流れてきたので、見にいくことにした。ことネット社会の現代において、口コミというのは信用に値する。こともある。そして実際に見た結果、予告編とはかなり違う印象の映画だった。オチについては、ビターエンドというやつだろうか。下手をすればまたホラーとも取られかねないが。

 


まず驚いたのは、この作品の主要キャラである、ヒューマノイドの女の子。彼女は名前を「芦森詩音(シオン)」という。「アイちゃん」じゃなかった。いや映画の中身とはまっっったく関係ないのだが、個人的に衝撃だった。

 

 


そんなことはどうでもよくて。

 


前半は正直少し幼稚かなと考えていたのだ。試験型AIのシオンが高校にやってきて、ちょっとズレた思考をしながら生徒達を騒動に巻き込む。AIだとバレたら終わり高校での試験は終わりとしながら、ソッコーでリア充カップルや柔道部くん達など主要キャラ達にはバレてしまう。そんなこんなで主人公のサトミではなく幼馴染のトウマを幸せにすることにして、なんだかんだでハッピーエンドか…と思っていたらそうはいかなかった。ちょっとシリアスパートへの場面転換が唐突過ぎる気もするがよくよく考えたら伏線がないわけではないからまああれでいいか。

考えてみれば最初からAIが普及した実験都市の様子が細かく描写されていた。サトミはAIの目覚ましによって起床するし、Alexaのようなシステムが自宅には完備されている。街には掃除などのロボットが徘徊しているが、もしものときは配布されているスマホアプリで誰でも緊急停止できる。意外と、と言ってしまっては失礼だが、意外と世界観がしっかりしている。街のAIは全て「星間エレクトロニクス」という会社のもので、サトミの母親を含む同級生の親達もここに勤めている。いわゆる企業城下町というやつである。途中、事故などが起こっても、星間が全て揉み消す、みたいな話もあったような気がする。意外と世界観がしっかりしている。

 

 

 

ポンコツAIとされるシオンにしても意外としっかりしている。最初サトミを認識するなり勝手にひとりミュージカルを始めたりどこかズレているかのような行動を取る。だがしかしネットワークに繋がっている監視カメラをハッキングして、自身の失敗を無かったことにして星間へデータを転送していたのだ。本作のテーマの一つに「指示されていない行動を取るAIの是非」みたいなところがあると思う。プログラムにない行動を取るというのは人間で言えば試行錯誤の結果でありそれによってシオンはサトミ達5人と確かな友情を確立したと言えるだろう。しかし大人達からしたらプログラムに無い予期せぬ動作を起こすAIは消去すべき危険なモノだった。この辺り現実だとどうなのだろうか。ぶっちゃけ用途によるとは思うのだがシオンはハッキングが得意なのでこういうAIはひとつあるだけで大問題なのかもしれない。

シオンが勝手にミュージカルを始めるのはそのものズバリ、デ○ズニーのような劇中のアニメ映画をシオン自身が模倣しているからだった。そして歌こそが人間を幸せにする手段の一つとシオンが確信しているからである。この辺りがわかるのはかなり後半で、シオンにとってはやっと自由に歌える身体を手に入れたという喜びも相まって暴走気味にミュージカルを始めてしまうのだろう。この辺の理由付けは割と好きである。