【再掲】おおかみこどもの雨と雪

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(※旧ブログからの移転記事です)

2012年7月25日に、問題の映画『おおかみこどもの雨と雪』を見てきました。

 

 

 

テレビなどで宣伝を見た第一印象は、とんでもない映画が大々的に扱われているという感じでした。だって獣○ですよ?獣耳のロリショタですよ?冷静に考えたら頭がおかしい。いや自分としては大いに興味があったのですが、いわゆる一般向けの映画であるとはどうしても思えなかったのです。それこそ深夜アニメを見ているようなニッチ層へ向けた映画にしか思えなかった。そんな映画を大々的に宣伝して大丈夫だろうか?それは僕らが心配することではないのだけれど、心配だった。深夜アニメ等に興味が無い人がドン引きしていないかも含めて、です。そう、ちょうどローソンで夏色キセキのPOPを見たときと同じ気持ちで日テレの番宣を眺めていました。

 

 

で、見に行った感想としては、突っ込み所がとても多い映画でした。でしたが、可愛い女の子キャラ目当てなら、当たりであったと。いわゆる「萌える」「ブヒれる」映画であったと思っています。自分の中でも評価が定まっていない。花さんかわいい!雪ちゃんかわいい!ロリショタケモナー歓喜!絶対に見に行くべき!で思考停止出来るのならそこで考えるのをやめてしまいたい。別に半獣の耳鼻がでている状態じゃなくてもフツーに雪ちゃん可愛い。

 

 

 

ただ、それだけの映画ではないのです。

 

 

 

以下ストーリーに沿ってツッコミとか。

 

 

 

話は大学生の花ちゃんが大学のキャンパスでおおかみおとこと出会うところから始まる。前情報をまったく仕入れていなかったので(CM程度)いきなり都会の大学のシーンから始まって驚いた。そしておおかみおとこのビジュアル…長身イケメン大勝利かよ。あんなかわいい娘が向こうから声をかけてくれるのなら俺もよれよれの襟の服を着て大学に忍び込んでこようかな。
そして二人は仲良くなりあっさりと匂わせる程度のセックスシーン。花の白い肩が覗くだけで少しドキッとしますね。で、順当に出産。雪を産む辺りまでは、人間の腹から狼が出てきたら困るから家で産むっていうのは、別にいいのですが、あの後何故スッと年子で作れるのかは不思議でたまらない。いやセックスはしてもいいけどさ、一人目の時点で大学を大学を辞めることを決心したからもう一人くらい構わない…と思ったのだろうか?物語的に子供が二人ほしいのなら雪と雨は双子でよかったのではないだろうか。

花が身ごもり、二人は同棲することになる。おおかみおとこが雉を狩ってきたかと思ったらあっという間に鍋が出来あいた。料理もできるとか器用ですね。あとたぶん焼き鳥を食べるたびにこの映画を思い出すと思う。こんなリアじゅうライフを見せられて若干リアじゅうタヒねと思ってたら本当にタヒんで焦った。ごみ回収業社さんよ、たとえフツーの犬の死体であったとしてもただ収集車に突っ込むのはいろいろマズいんじゃないのか?しかも飼い主(違)が目の前で名乗り出ているのに…。


子供が大きくなるにつれて都会でおおかみこどもを育てるのは困難と判断し田舎に移り住むという一大決心。でも予防接種に来ないことを心配で訪問する役場の人とか、ペット禁止なのに犬の声が…とか言う大家さんなどなどそんなにおかしなことはされていないのですよ。強いていえば夜泣きで殴り込んでくる人がいたけれど、それはフツーの赤ん坊でもあることだろうし。以下何度も、子供がおおかみこどもだとバレてしまいそうになるのだがある一人を除いて絶対にバレない。なんか緊張感無いよね。バレて鬱展開、しかし草平くんだけは…っていう展開でもよかったと思う。

 


そしてこの田舎に移り住み始める辺りから、超人花さんの片鱗が現れ始めるのである。

 


花さんが移住を決めたのは、集落から少し離れた廃屋。この古民家を、花は一人で修繕していく。掃除はおろか床板や瓦屋根の張り直しまで。映画見た人ならお分かり頂けると思いますが、この古民家結構ボロボロで結構広いんですよ。しかも屋根裏にはヤモリやムカデがわんさかいる。あれを女性一人で修繕すると言うのはちょーっと無理があるんじゃないかな。でもこの解釈を含めて超人花さんの描写については、某掲示板で「この映画は雪の語り(回想)だからいいんだよ。小さい頃は親が何でも出来る超人だと思っていただろ?」みたいな意見を見てすごく納得したので、もうそれでいいです。描写されていないだけで、ジジイとか村の人はもっと早く介入していたのかもしれない。そうこのジジイこそが物語屈指の萌えキャラで、ツンデレ好きにはたまらない。「学校に行かない奴は大物になる。エジソンと俺がそうだ(キリッ」とか大好きだわ。農業に四苦八苦する花たちに世話を焼くジジイ。ここでも結構広い範囲を耕すように言われるんだけど、弱音一つ吐かない超人花さんであった。どうでもいいけど種イモって切り口に灰まぶさなくてもいいんですかね?


CMでもアピールされてた雪山を駆け回るシーンはこの辺だったかな。気持ちいいけどやっぱりここでも超人花さん。おおかみにあれだけついていける花さんって何者なんだろうか。

 


やがて雪と雨が学校に通うようになる。雪は周りの友達に迎合し徐々に馴染んでいき“人間”になろうとしていく。雨は人間になじめず不登校になるが、山に入り“おおかみ”としての生き方を見つけて行く。この辺から雨と雪のやってる事が逆転してくる。この対比結構好きです。幼少の頃野山を駆け巡り動物を追いかけ回していた雪ちゃんは友達に合わせて人間の女の子らしく振る舞うようになる。山奥を嫌がっていた雨くんは積極的に山に入るようになり“先生”と呼ばれる老キツネから山の事をいろいろ教わるようになる。雪ちゃんは花さんが作って青いワンピースが可愛い。雨くんは父親が着ていたようなシンプルなTシャツ。

 


雪は、クラス(学年)にやってきた転校生・草平に「獣の匂いがする」と指摘され、彼とは距離を置くようになる。この辺の匂いを指摘されて必死に手を洗う雪にエロスを感じたのはどうやら僕だけではない様子。「取れないや…血の匂い…」的な。で、草平くんはクラスの人気者になるのですが、雪だけに距離を置かれるのがどうしても気にいらない(気になる)草平くんは雪を追いかけ回す。小学生男子ってあんな感じですね。実にいい。で雪は逃げ回る。草平があまりにもしつこいので遂に雪はケモノ化して草平を傷付けてしまう。ここも別に半狼でなくても有り得るシーンである。同級生を傷つけてしまって相手の親がめんどくさい奴で…っていうのもフツーにある話だと思う。このあと雪は不登校になってしまうのだが、草平くんがプリントを届けてくれるところは好きだ。草平くん超いい奴。まあ物語的に草平くんの親が嫌な奴で草平くん自身も嫌な奴だったらただの鬱アニメですがな。

 


雪6年生、雨5年生(不登校)のある夏の日、集落に大嵐がやってくる。雪は草平と一緒に嵐の学校に取り残されてしまう。こちらはボーイミーツガール。不思議な少女の秘密を知るとか草平くんマジラノベの主人公。正体をバラす場面はちょっとよかった。LOなら始まってた。ていうか始まれ!!いっそ始まれ!!

 


問題は、山の様子が気になると言って山に入った雨くんと、それを無謀にも追いかけて行った花さんである。ここら辺は花さんに対してイライラして仕方が無かった。花さんを守ろうともせず山に入っていったきり戻っても来ない雨くんに腹が立ったし、雨くんを追いかけて嵐の山に入っていく花さんがすげーバカに見えた。雨くんはおおかみだから山に入ったって平気で道なき道を駆け巡るだろうし(一応狩りに失敗して溺れかけるという描写があったがこの場面から見て5、6年ほど前の話である)対して花さんはアニメだから美化されてるけどこの時点では結構いい歳である(と思ったけどオフィシャルブックによると32歳だった。そうでもない)。どちらにしろ伸び盛りの子供と比べると、体力的に心配である。おい今すぐ引き返せバカ!と何度思った事か。ただしこの辺りも超人花さんが超人ぶりを発揮し、どれだけすっ転んでも崖から転げ落ちても骨一本折らない。こいつ実は半妖かなにかなんじゃ。それで、このあと山の中で気絶した(ほら言わんこっちゃない!)花さんを雨くんが安全なところまで運んで、雨くんの遠吠えが山じゅうに響き渡って、物語は終わりである。「え?」みたいな。何も解決出来てないような気がするんですけど。なんかすっきりしないなぁ…。

 

 

 

そういう訳で、僕はこの映画について判断に困っている。良い映画とするべきか、ダメな映画とするべきか。映画を見た後にいろんなブログを巡って感想を読んだりもしたけど、人によって、ツッコむところが違っていて面白かった。僕では思いつかないような点について述べているブログがたくさんあった。そして僕は、「おおかみこどもの雨と雪」は、半狼である点は実は物語に全く影響を及ぼさないのではないかという結論に至ってしまいそうである。先に書いたように、都会で隣人に夜泣きで切れられるというのもフツーの子育てでもあることだろうし、同級生を怪我させることもフツーの子供でも有り得る。子供の為にーとか言って田舎に引っ越す親だっているし。だから、この映画にケモナー要素は必要ない。もし必要だと考えるのなら、深夜アニメを見るような層へのアピールであったのではないか…と。