前回「ディプロカウルス」の話をしたので、次はやはり「ディメトロドン」の話をしなければならないだろう。
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「ディメトロドン(Dimetrodon)」は1878年にアメリカのエドワード・コープにより記載された。
ここでいう「記載」とは「ある生物の分類群を定義する際、その主要な形質をすべて記述したもの」(https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E8%A8%98%E8%BC%89/ より)という意味である。
ディメトロドンは、2億7000万年前である古生代ペルム紀に生息していたとされる。
4つ足で歩くトカゲのような格好をしているが、最大の特徴は背中にある大きな背鰭である。
この背鰭は、朝の日差しを浴びてすばやく体温を上げるために役立ったとされる。
ディメトロドンは数種類いるが、体長は大きいもので3メートル以上あるとされている。
ティラノサウルスやアノマロカリスのように、当時最強の捕食者だった。
ディメトロドンは、単弓類のうちの盤竜類と呼ばれる生き物の化石である。恐竜ではない。
単弓類、盤竜類とは一体なんなのか?
両生類なのか?爬虫類なのか?
それとも哺乳類なのか?
書く側としてもはっきり書きたいのだが、はっきり書けない。
そして現代の尺度では、はっきり分類できないことこそが、単弓類の魅力の一つだと考えている。
テトラケラトプスのときに、少し獣弓類の話をした。獣弓類とは単弓類のうちの進化した仲間である。
獣弓類の中の生き残りが、現在の哺乳類とされている。
単弓類のうちの、現在の哺乳類と繋がらない生き物が、盤竜類である。
ディメトロドンは、両生類とも爬虫類とも、厳密に言えば哺乳類とも違う。
現在の生物分類では何であるとはっきりといえない生き物といえるだろう。
それでは、ディメトロドンと我々の共通点とは何だろうか?
ディメトロドンとは、「二つの異なる歯」という意味である。
あの立派な背鰭が、命名においてまったく触れられていないのは驚きなのだが。
ディメトロドンは、2億7000万年前の時点で異歯性を獲得していた。
異歯性、つまり形が違う歯があるということである。
人間は32本ある歯の形がほぼ全て違うので、当たり前だと思いがちだが、
実は違う形の歯を数種類持つというのは、現代では哺乳類だけが持つ特徴である。
例えば爬虫類であるイリエワニは、歯が80本ほど生えているとされるが、全て同じ形をしている。
ディメトロドンは、2種類の歯を持っている。それがやがて、何種類もの歯を持つ哺乳類へと繋がっていく。
ディメトロドンは、あんな姿をしているが、われわれ哺乳類の祖先の試行錯誤の形の一つであるということだ。
2015年上野科博「生命大躍進」展におけるディメトロドンの展示。
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